ルツ記

第1章1節~22節(残されたナオミ・ルツの決意・うつろな帰国)

2004年2月3日(火)

なぜルツは、ナオミと共にどこまでもその歩みを同じくするのか。それは単なる姑への愛情故ではありません。そうではなくて彼女は言っています。「あなたの民は私の民、あなたの神は私の神」と。そうです。ルツは姑の存在を通してイスラエルの神と出会ったのです。今やルツは「私は姑と共に神の家族になった」と言っているのです。・・一方ナオミはどうか。彼女は言っています。「あなたたちより私の方がはるかにつらいのです。主の御手が私に下されたのですから。」夫と息子に先立たれたナオミのつらさがここにあります。また故郷に戻った彼女は近所の人々にこう言います。「どうかナオミ(快い)などと呼ばないでマラ(苦い)と呼んで下さい。全能者が私をひどい目に遭わせたのです」と。――後にマタイはその福音書においてこう語ります。「ルツの子孫としてダビデが生まれ、・・主イエスがお生まれになった」と。それはルツ記4章を合わせ読めば、ナオミの不幸がなかったら主は生まれて来なかった、とも言えます。「全能者が私をひどい目に遭わせた」と言っているナオミの耐え難い不幸を通して、キリストは生まれてこられる。耐え難い悲しみを、信じられない喜びへと変えて下さる全能者。それが、ルツ記が示す神様の御姿です。

第2章1節~23節(ボアズの厚意)

2004年2月4日(水)

夫と息子に先立たれたことで帰郷したナオミ。イスラエルの神を慕い、ナオミと歩みを共にする異邦人ルツ。しかし今彼らには確かな生活の寄る辺がありません。そこでルツは落穂拾いに出かけます。そしてこの日彼女が出かけた先はボアズ所有の畑地でした。遠慮せずに拾える落穂。飽き足りて残すほどの食事。不思議なほど温かいボアズの厚意です。そして本章には、神の祝福に満たされた人間たちの声がこだまし合っています。ボアズ「どうか、主があなたの行いに豊かに報いて下さるように。イスラエルの神、主がその御翼のもとに逃れて来たあなたに十分に報いて下さるように。」ルツは言った。「私の主よ。どうぞこれからも厚意を示して下さいますように。あなたのはしための一人にも及ばぬこの私ですのに、心に触れる言葉をかけていただいて、本当に慰められました。」――主イエスは、このバアズとルツの間に生まれたオベドの子孫として、お生まれになったのです。

第3章1節~18節(婚約)

2004年2月5日(木)

家に閉じこもってばかりいたナオミに、希望の光が差し込んできました。ルツに不思議なほど厚意を傾ける畑地の所有者ボアズ。彼は自分たちの家を絶やさないようにする責任ある者の一人です。そこでナオミは一計を案じます。ボアズがルツを妻に迎えてくれるかどうか、それを確かめるのです。帰ってきたルツにナオミは尋ねます。「娘よ、どうでしたか」と。何かを期待しているナオミの言葉です。主の御業を待ち望む者の心です。ナオミの心は主によって癒され始めています。「全能者が私をひどい目に遭わせたのです(1:20)。」・・「どうか、生きている人にも死んだ人にも慈しみを惜しまれない主が、その人を祝福して下さるように(2:20)。」・・「娘よ、どうでしたか(3:16)。」=「娘よ、主はあなたに恵みを示して下さいましたか。」アドベントを思い起こさせる、ナオミの心です。

第4章1節~17節(交渉・人々の祝福と神の祝福)

2004年2月6日(金)

「あなたがたは今日、私がエリメレクとキルヨンとマフロンの遺産をことごとくナオミの手から買い取ったことの証人になったのです。」一切の手続きを経て宣言されたこのボアズの言葉を、ナオミはどう聞いたでしょうか。夫エリメレクを失い、キルヨンとマフロンを失ったナオミです。今、主が彼女に信じられない程大きな顧みを与えて下さったのです。ではルツはどう聞いたか。イスラエルの神を慕ってナオミと共に歩んできたルツです。彼女は今、名実共にイスラエルの一員として迎えられたのです。そしてこのルツとボアズの間にオベドが与えられました。私たちの主は、このオベドの子孫として誕生されたのです。

第4章18節~22節(ダビデの系図)

2004年2月7日(土)

変化の激しい時代を生きたナオミとルツの物語。彼らは主の大いなる顧みを受けました。そして系図は、主の変わらぬ恵みの道筋を辿っています。今の時代にも主の顧み、です。

第1章1節~第4章22節

2004年2月8日(日)

ルツ記の時代は士師時代から王国時代へと移る大変動期でした。また「それぞれ自分の目に正しいとすることを行っていた」時代、つまり無法が蔓延る時代でした。加えて、外敵ペリシテの恐怖があります。不安が大地を覆い、明日どうなるか分からぬ不確かな時代、それがルツ記の時代です。そしてそのような時代の荒波に翻弄されつつも、主の喜びに生きることをゆるされた一家、それがナオミとルツでした。――ナオミとルツを顧みて下さった主が、あなたを顧みていて下さいます。時代がどんなに激しく動こうとも、このお方は永久にあなたの神であって下さいます。安心して、この新しい一週を過ごしましょう。